待機児童解消につながるか
政府は、消費税増税による財源を活用し、幼稚園と保育所の機能を一体化した「総合こども園」を創設することを発表している。
自民党政権下では、幼保一元化と称し『認定こども園』を作ることを進めてきたが、民主党政権下では、幼保一元化と称し、保育園や幼稚園を『総合こども園』に移行することを決めている。
もともと、厚生労働省の管轄下に保育園があり、文部科学省の管轄下に幼稚園があるのは、縦割り行政の最たるもので、不合理だと言うことで幼保一体化が言われてきた。
全国的に、保育園は定員オーバーのところが多く、幼稚園は園児が減少している。福井県も同様の傾向にある保育園や幼稚園が多かったが、自民党が示した『認定こども園』に移行した地区はごく少数であった。
政府は、消費税率が10%に引き上げられることを前提にここ数年後に新システムの本格実施を想定しているようだ。また、民間の参入も認めているようだ。
このような問題の前提には、都市部を中心に保育所に入所できないでいる待機児童が増え続けていることがある。しかし、待機児童解消がいわれてすでに15年以上が経過しているがこの問題は解決していない。
というのは、幼保一元化として2006年度からスタートした『認定子ども園』は当時目標にしていた数のわずかに20%だけしか作られず、待機児童の減少につながっていないのだ。
このような結果から見ても、現政権の進める幼保一体化策による『総合こども園』にしても同様の結果になるのではと私は心配している。それどころか、企業による参入によってはたして 待機児童問題が解決し、良質な保育が確保できるかどうかと言うことについては疑問符が付く。
現在の児童福祉法では、働いている等の理由で役所に希望の保育所への入所申請を行えば、市町村の責任で認可保育所に入所させなければならないが、新制度ではこのような法的規定がなくなるようだ。
幼保一体化は、結局、幼児教育を規制緩和して、企業の参入を容易にするという面があり、これらのよって待機児童の解消を目指しているのだ。また、現実にも行われているが、土曜や日曜、延長保育などのオプション保育により保育料が上乗せになり、保護者の負担が増加したり、十分なお金がなければ必要な保育が受けられなくなる恐れもあるのだ。
そして、各地の実態を見ると、結局は全てが実質保育園化することになるのだ。親の都合により、子ども達を保育園に任せっぱなしになる可能性がある。核家族の増加と相まってますます祖父母の保育の機会も失われるだろう。
待機児童の多い都会で保育園を作ればすむ話を、経済的な問題に転化し、新制度を導入しようとしているのだ。それも、消費税増税を前提に。
このような大きな問題を、国民や地方に意見を聞くことなしに、一方的に進めようとしていることが一番大きな問題だ。野田総理も、最近声を大にして進めようとしているのだ。
教育や保育の観点からも問題は少なくない。短絡的に言えば、消費税増税によって待機児童解消を狙っているように考えられなくもない。全ての国民が時間をかけて考えるべき問題だと私は思う。
(日記 午前中、創作紙芝居『白山平泉寺物語』の追加の絵を描いた。午前11時より、股関節の可動域を広げ腰痛を改善させるマッサージを受けるために大野へ行く。午後4時より、園児と小学1年生とその保護者のための和太鼓教室。今日から新曲の練習を始める。)