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自費出版あれこれ(その2)

07 3月

荷造りで嬉しい悲鳴
 全国に一斉に注文ハガキや内容の概要を示すチラシ、推薦文などを入れたダイレクトメールを発送してから数日後。毎日、少しずつ注文のハガキが届き始めた。

 注文を受けたら、その日の夜、仕事から帰ってから荷造りをするのだ。少しでも送料を安くするために、書籍小包にするのだが、段ボールで包装し、書籍であることを示すために小窓を開けなければならなかった。

 ほぼ全てが高校からの注文だ。1冊、3冊、5冊と注文が届くために、段ボールをその大きさに切って箱状にし、小窓をつくるのだが、この作業がなかなか大変だった。

 20人あまりの教職員しかいない沖縄県の高校から14冊の注文が入ったときには感激した。毎日、帰宅したら、家内と二人で包装するのだが、嬉しくもあるがかなりきつい作業で、ピーク時には寝不足になるほどだった。

 段ボールを集めるだけでも大変だった。そうこうしているうちにお金が入ったことを知らせる振替用紙が家に届くことになった。 

少しずつ届いた反響
 本を発送してしばらくすると、本についてのコメントが届くようになった。あるときは、手紙で、あるときは、振替用紙の通信欄に読後の感想が届くようになった。好意的なものが多かった。

 「娘のアメリカ留学の参考になった」とか「アメリカの高校の様子がよく分かった」とか、いろんな行事に関するものなど様々だった。ただ、ここまで来るには相当の苦労があったと感じることも少なくなかった。

 出版社で本を作れば、販売に対しても専門の会社があって、全国の書店に配本してもらえるのだが、全くの自費出版ではそれはかなわない。北海道の人に、沖縄の人に届けるにはダイレクトメールしかない。

 しかし、ダイレクトメールでは不特定多数の人には届けられない。高校が精一杯だった。何とか、一般の人にも読んでいただける方法がないものかと考え始めた。

読者の感想文と書籍を東京の出版社へ
 一人では限界がある。そこで思い立ったのが、特別求めなかったのに、読後の感想を書いて送って下さる方がいたので、これらと一緒に本を出版社へ送ってみようと思い立った。一番多かったのは、振替用紙に書かれた寸評だった。

 どこの出版社がよいか、本屋でここはと思う出版社を見つけて送ることにした。それが東京の三修社だった。外国語系の辞書や教科書や様々な単行本を出版している会社だった。

 「出版しましょう」ということで、ほぼ、修正することなく、出版して下さることになった。表紙デザインは向こうにお任せすることになった。全てお任せなので荷造りの心配も何もない。1年に何度か印税が入るだけになった。

異文化を知る一冊シリーズに
 その後、拙著は三修社によって「異文化を知る一冊」シリーズに加えられた。今度は少し安価な文庫本としても出版して下さることになったのだ。

 その時点では、私はアメリカなどへ行ったことがなく、この『アメリカの高校生~イリノイ州セントラリア高校の全て~』を書いたのだが、雑誌社から原稿を書いてくれとか、引用させてくれという注文まで来ることになった。

 全くの予想外の展開だ。最初から、出版社へ持ち込んだところで見向きもされなかっただろうと思う。読者の皆さんの反響が私の背中を押して下さり、それが出版社の目にとまり、思わぬ展開になったのだ。

 その後、私は文科省の教育視察団となって、約1ヶ月間、海外の高校の教育について学ぶ機会に恵まれた。アメリカでは逆に自分の作った本の通りだろうかと思いながら視察したものだった。

 今、私は次を狙っている。今度は漫画本だ。自費出版を覚悟で、出版して下さるところがないかと思案している。そして、少し光が見えかかっている。何とか、夢が正夢になってほしいと願っている今日この頃である。

中央が自費出版したもの。左が三修社で最初に出版されたもの。右が、文庫本で出版されたもの。
 
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Posted in 教育

 

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