宝を生み出す“つながり力”
今日は「地方から日本を変える・・・地方発の新しいビジネス」(NHKクローズアップ現代)の二日目。地域で成功している中小企業が紹介された。雪深い新潟・三条市で5年で売り上げを倍増させたアウトドアーメーカーー「snow peak」の話である。社長は26歳でUターンしたY氏。同氏がUターンした頃は、地元には金属加工の技術はあるが、安い外国製品に押され不況にあえいでいた。同氏によれば「みんなで安いマーケットに安いものを作って安く売っていた。」と思っていたらしい。
今や同社は、年間売上高54億円。躍進の秘密は高度な技術で加工した付加価値の高い製品を売り出すことにあった。思いついたのは自分が好きだったアウトドアー関連の製品。地元の金属加工の技術を使って高級テントを作り、従来品の10倍の値段(27年前に168,000円)で売り出したところ、大ヒット。
地元の鍛造技術使った驚異的な強度のあるペグ(テントのひもを止める器具)や、地元の職人にしか作れないキャンプ用の調理鍋を作るなど、地元企業に声をかけ、技術力を売りにした製品の開発に乗り出している。Y社長は「僕は高く買ってくれる人に、高くてもいいものを作って売っていくようにしている。そのためにはブランドも作らなければいけないと思っていた」と語っている。
それが高級ブランドの出発点となった。高付加価値戦略の成功により地元企業の意識も変わった。販売は直営店を主体に行っている。社員が製品の機能やブランドの哲学を徹底的に説明する。今や社員の約7割は県外から入社を希望して集まっている。「これだけの技術はうちだけしか持っていないでしょう」と自信を持つ職人たち。消費者も「値段は高いがものがいいのでずっと使える。」と言い、リピーターになっている。
こうして、地場産業とのつながりを武器に世界を目指している。高付加価値のブランドが地方の新たな可能性を開こうとしているのだ。社長「地域からグローバルなマーケットに高くても価値のあるものを作って高く買ってくれる人に対してものを供給するようなことが成長戦略としてある。」と結んでいる。地元にどんな技術があるのか、どんなものを人が求めているのか、安売り競争に巻き込まれず、本物を作る力が地方に望まれているのではなかろうか。まさに“知恵無限”である。
(日記 終日、数学。途中で事務所の除雪。冬は時間がたくさんあるのでありがたい。)