どのように「まちづくり」を進めるか
午後7時より猪野瀬地区の区長会が開かれた。最初に市の職員が来て説明を行った。その中の一つが、『各地区の特色ある地域づくり事業』についてであった。総額9,050万円を市内10地区に配分して、「まちづくり」を行うというものであった。
その配分方法は、人口割りで各地区に500万円を配分し、人口に合わせて残りを配分するというもので、我が猪野瀬地区は、総額791万円が配分されることになった。これから2年ほどかけて計画し、平成32年までに実施することになるのだ。
我が猪野瀬地区には9つの集落があるのだ。農業者のほとんどいない地区から、米作りや野菜作りを行っている地区など、いろいろである。しかし、どの集落も専業農家は非常に少ない。各集落が一つの目標に向かってまちづくりを行うのは簡単ではない。
これらを進めるには、まちづくり関係の団体が、中心になり、区長会と一緒に知恵をしぼらなければならない。多少の金があるから、「まちづくり」を考えるというのでは、対応できないだろう。
私としては、.急に、金を使うことを考えるよりも、地域の現状をしっかり分析してから始めなければならないと思う。こうした分析を行わないまま「まちづくり」を行おうとすると、思いつきであったり、一過性のイベントなどに金を使うことになりかねない。
時間は十分あるが、なんにもしないで時間の過ぎるのを待つのではなく、地域の実情に目を向け、それらをよく分析してから何を為すべきかを考えなければならないと思う。
野菜作りの盛んな地域の区長が、「ここ数年で後継者不足のために大きく変わる(衰退する)だろう」という意味のことを発言していた。どのような分野でも、今、盛んだから、これからも続くだろうとは簡単に判断できない。問題は後継者がいるかどうかだ。10年も経てば、高齢者は支えてきたものは衰退してしまうだろう。
若い人に魅力のある産業でなければ、「持続可能」にはならない。魅力を作るのは、年長者の責務だろう。これは、何も農業だけの問題ではない。地域そのものも、魅力がなければ衰退するのだ。
我が集落も、高齢化している。後継者が集落にいない人が少なくない。高齢者の一人暮らし、二人暮らしがかなりいるのだ。地元に子どものいない家庭が少なくない。一番の問題は地元に働く場がないからだと思っている。
それでも、福井まで1時間ほどかけて通勤している人もいるが、冬の通勤は容易ではない。次の世代も、福井まで通勤してくれるか。それとも、住居を福井や県外に移すかどうかだ。
持続可能な社会を目指しているが、集落そのものが持続可能かどうかが危ぶまれる。私達は、先ずは、自分自身がこの地で心豊かに暮らせることを示していかなければならない。高齢者が、不満を持つような地域では、次の世代がこの地区に住みたくなることはなかろう。
かつては、改めて「まちづくり」など考えなくても、ライフスタイルそのものが「まちづくり」につながっていたように思う。暮らしそのものが、住民の「絆」を深めるようにできていたように思う。冠婚葬祭を始め、仕事においても「結」に見られるように、助け合って生きてきたのである。
車も、テレビ、洗濯機、炊飯器もない中で、仕事に精を出し、地区の行事には積極的に参加して盛り上げていたのである。文明が発達し、「モノ」に恵まれるにつれて、人と人との結びつきは弱くなり、人生の終盤は孤独な人生が待っていなくもない。
地域の現状を分析し、金に飛びつく前に、何をなすべきかを真剣に考えなければならない。そうでないと、予算を消化するための「まちづくり」になりかねない。私達は、今一度、地域に対して「何をなすべきか」、「何ができるるのか」を考えることから始めなければならないと今日の会議に参加して思った。
(日記 午前中は、パソコンで創作作業。その後、孫に対して『じいちゃん勉強』タイム。私は一つの仮説を持っている。それは、『算数は足し算だ』ということだ。全体と部分の関係をつかんでいないと、子どもは数字を見たら「足したり、引いたり」したくなる。「なぜ足すのか」、「なぜ引くのか」を小学生のうちから、理解してほしい。約3週間でどこまで孫に伝わるか、私としても算数を教える楽しみがある。午後は、楽器の練習や雑用。午後7時から『猪野瀬地区区長会』に参加。大きなテーマを与えられた気がする。終了後、『片瀬豊年ばやし』の練習に参加。)