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バランス感覚

19 4月

バランスは車の両輪
  「私は文系だ」、「私は理系だ」という言い方がある。しかし、中身を見ると、数学や理科が得意であったり、苦手であったり、国語や社会が得意であったり、苦手であったりすることで決めている場合が少なくない。

  同じような言い方に、「自分は体育系だ」、「自分は文化系だ」というのがあるが、決めつけるのはよくないと思う。どちらであろうと、両者のバランスが必要だからだ。

  私は数学の高校教員だったが、自分では理系の人間だとは思っていない。文系も大好きだからだ。同様に、パソコンなどの扱いや論理的な思考のできる理系科目に強い文系教員も知っている。

 今月販売の『文春(5月号)』にも興味ある記事が書いてあった。安倍首相の理論的支柱であると言われているイエール大学名誉教授の浜田宏一氏と数学者の藤原正彦氏の対談の中にあった。
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藤原-世界的な業績を残された岡潔という数学者は、「日本人が数学が得意なのは、俳句があるからだ」とおっしゃった。たとえば、「荒海や 佐渡に横たふ 天の川」などは、目の前の荒海から宇宙まで考えを飛躍させている。こうした感覚を幼少期から俳句で訓練されているので日本人は想像力や創造力が豊かなのだ、というようなことを書かれていました。
  彼は、変わった学者で、二十代末にフランスに3年間留学したときにはほとんど論文を書かなかった。帰国後、「これから私が為すべき分野がわかった。そのためにまず松尾芭蕉を一門の俳諧を全て調べないといけない。」といって芭蕉研究に取り組むのです。 その後、20年かかって、多変数解析函数論という分野の世界三大難問を全て一人で解いてしまった。……。」
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 オリンピックでは体育的な競技である体操やフィギュアスケートなども、芸術的な素養が必要だろうし、論理的な思考は分離両方の知識によって磨かれるのではなかろうか。

  たまたま、教科で文理に別れているだろうが、両者のバランスがとれていないとどちらも伸びないような気がする。バランスと言えば、教科ばかりではない。

  デジタルとアナログのバランス、右脳と左脳のバランスのとれた発達も大切ではなかろうか。知識と知恵のバランスも大切だ。知識だけなら、ネットで十分だろう。知識を生かすには知恵が必要だ労使、知恵を働かせるにも一定の知識は必要だろう。

  子供にとっては、『みんなと遊べること』と同時に、『一人で遊べること』も同様に大切だ。一人で遊べない子どもは、大きくなったとき、家にじっとしていられなくて、友人宅を泊まり歩くことになりかねない。

 かといって、一人でしか遊べないようでは、社会性が育たず、将来社会へ出ても仲間と協力して仕事に取り組むことは困難であろう。車と同じで、人間はそれなりにバランスが取れていないと、よりよい成長は望めないような気がする。

(日記 午前中、依頼された原稿を書く。〆切りは月曜日なので、今日の内に完成させ、メールで送付した。自分にとっては珍しい速さだ。家内が急かしてくれたおかげだ。午後は、音楽一辺倒。編曲や楽譜作り。夕方までかかった。)

 
 

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