話を肴に酒をいただく
私が参加する送別会は、全部で8回ありますが、今日はその6回目でした。楽しく酒を飲むためにはどうしたらいいでしょうか?
一般に酒席では、開会の挨拶済むと、頃合いをみはからって主賓なり上司に酒をつぐことになります。そこでは、多少の会話はありますが、全体で会話を楽しむことはあまりありません。
あちこちで1:1の会話が進むことが多く、会が終わった場合には、ごく一部の人とだけ話が弾んで他の人とは、ただ会場に居合わせただけということになります。
従って、団体で酒を飲んでいても、たまたま隣に居合わせた人と最も多く話すことになり、個人的に酒を飲んでいるようでそんなに楽しくありません。かといって全員と楽しく過ごすにはそれなりの時間が必要で、現実にはそんなことはできません。
「もしも私が市長だったら」
これまで何度も実験をしたことがあります。ある時、公民館の館長さんと酒を飲むことになりました。部屋には、カラオケセットが用意されていました。会が始まった直後に、私はみなさんに一つのお願いをしました。
「みなさんに一つのお願いがあります。せっかくみんなが一緒に酒を飲んでいるのですから、最初は自分の席を動かず、料理を楽しみながら、一人ずつ自分の想いを話してくださいませんか?あの人に酒を注がなければならない、この人に酒を注がなければならないとばかり考えていては酒が美味しくありません。落ち着いて料理を味わうこともできません。最初の1時間は兎に角自分の席を動かないで、あのカラオケのマイクを持って自分の想いを語ってください。」
「何を話すんんゃの?」
と、早速質問が飛ぶ。
「“もしも私が市長だったら”ではどうでしょうか?」
と、私。
結果はどうなったと思われますか。一人ひとりが自分の想いを語り、その最中に質問が飛ぶ。面白いことを言えば、
「座布団2枚!」
と、すかさず合いの手が入り、会場は非常に盛り上がりました。そして、一人ひとりが何を考えているかが分かり、質問や意見が飛び交い、爆笑と自分の意見を主張する声が混ざり合い、大いに盛り上がりました。1時間の予定が2時間もこの調子で会が進みました。
その後、それぞれが席を動き、あちこちで先ほどの話の続きに花が咲きました。
「生まれて始めてうまい酒を飲んだ!」
という参加者の一人の感想に私は嬉しくなりました。
「最近何にはまっていますか?」
今日も、いつものペースで宴会が始まりました。退職した私の所へみなさんが一人ずつ酒を注ぎに来て下さいました。あちこちでは、酒を酌み交わしながら、話が弾んでいます。しかし、1:1の会話がほとんどです。
そこで私は幹事さんにお願いしました。
「仕事以外で、“最近、自分がはまっているもの”を一人ずつ話していただけませんでしょうか」
そして、参加したみなさんに、“最近自分がはまっているもの(夢中になっているもの)”を語っていただきました。短時間のつもりが、結構時間がかかりました。話す方も、聞く方もとても楽しい時間をもつことができたように思いました。
みなさんの新しい一面がわかり、とても興味を持つことができました。参加者全員が、仕事以外にも自分の楽しみを持って毎日生活しておられるのだなあと感心しました。
みなさんの生き方に感心すると共に、私も勇気をいただきました。明日からも、肩の力を抜いて前向きに生きようと思いながら、帰宅しました。とても楽しく酒を飲むことができました。