消滅可能性都市から日本のシリコンバレーへ
徳島県神山町、人口約5,000人、勝山市で言えば北部3町(荒土・北郷・鹿谷の人口5,283人令和3年4月1日)より小さなまちだ。おそらくその道の人しか知らない町だろう。
令和5年4月2日、四国の山間の町に私立『神山まるごと高等専門学校』。木の香りが漂う真新しい円形講堂には、北は北海道から南は沖縄まで、全国から集まった44人の若者が集まってきた。
その学校は、昨年8月に設置認可を受けたばかりの新設校。しかも、「デザイン・エンジニアリング学科」だけの単科高専(高等専門学校)。で、ソフトウェアやAI(人工知能)などの情報工学をベースに、デザインや起業家精神について学ぶ学校だ。しかも、寄付金によって授業料はなしだという。
目指す学生像は「モノをつくる力で、コトを起こす人」。今の時代、新しい製品やサービスを生み出すには、『ITスキル+デザインの力+起業家精神』が必要だという。
社会を変えるようなプロジェクトを立ち上げるには、技術、デザイン、起業家精神──の3つが不可欠だということだ。
卒業生の進路は、想定する卒業生の進路は、起業40%、就職30%、大学進学30%だという。
学習については、4年生、5年生と学年が上がるにつれて授業の余白は増えていく。その余白では、企業との共同研究や卒業研究、学生によってはインターンや起業などに取り組むことになる。
5年間、大学受験の影響を受けることなく専門的な知識を深めることができるという高専の良さと起業家教育を組み合わせた学校──。それが神山まるごと高専だという。
倍率9倍。何の実績もない新設校にもかかわらず、全国から399人の若者が受験したのは、「テクノロジー×デザイン×起業家精神」というコンセプトが心に響いたからだろう。
この学校については、ずいぶん前から関心を持ち、メルマガを定期的に受信していた。人間やる気になれば、ゼロからでも学校をつくることができるのだ。しかも、倍率9倍の人気校だ。スポンサーもすごい、過疎の町が日本のシリコンバレーになるのだろうか?
どこかのまちのように、高校の活性化のために再編した市内唯一の中学校をグラウンドの中に作るようなおかしなことはしないだろう。人のやる気がこうも大きな違いを生むのか。