人と人との縁
エコミュージアム協議会の研修『上丹生チューリップ祭り』視察に家内と二人で同行することにした。会員ではないが、興味があって同行したのだ。午前7時30分市役所前を出発し、高速道路で一路米原インターへ。一般道を少し走って上丹生に着いた。
上丹生の集落は、米原駅から約10キロ東に行ったところだ。集落内を流れる丹生川に沿って家が建ち、その周囲には山が広がっていた。駐車場を降りるとテントが並ぶグランドが見えた。そこが祭り会場であった。
そこまでの道には、小さな野菜畑があったが、猪から守るためかどの畑にも、まるで鶏小屋のように背丈以上の高い網が張られていた。山間に住む人達の苦労がしのばれた。
この集落を少し歩くと、「木彫り」という文字がいくつか見えた。「木彫りの里上丹生」としても有名だそうだ。最近、木工関係の後継者は減っているとのことであった。また約150世帯で五百人あまりが住むこの集落にも近年高齢化の波が押し寄せているのだ。
しかし、そんな中でこの区の人達は、区民からメンバーを募ってまちづくり委員会を設置し、まず自分たちのまちに対する意識調査を行ったそうだ。私は、全てのアクションの前に『現状分析』が重要であるというのが持論だが、この地区の人達もそうしたところから始めたようだ。
そして、この上丹生の人達は、「プロジェクトK(Kは上丹生の頭文字)」を始めて、様々なアイディアを出しながらまちづくりを続けてきたというのだ。毎月の例会では、メンバーがいろんなアイディアや意見を出し合い、それらの中からいろんな事業を展開してきたらしい。
その一つが、チューリップ祭りだ。そして、今日の祭りの素晴らしいところは、利益を震災を受けた東北の人達のために全額寄付するというのだ。私達が、模擬店で何かを買えば、その一部が東北の皆さんのためになるのだ。そう思うと、気持ちがよくなる。
同区のホームページには以下のようなことが書いてあったので、一部だけ紹介したい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・上丹生ホームページより・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新しい事をする場合、やる前から弊害や問題点ばかりを探すのではなく、まず実行してみようの精神も大切。
上丹生まちづくり活動の秘訣、プロジェクトK方式をご紹介します。
その1:会議は、クジ引きで座る場所を決める。
その2:若い世代の「意見をききましょう!
その3:地域のお年寄りが、得意分野でアドバイザーに!
その4:活動は地域住民全員に呼びかけよう!
その5:来る物は拒まず、去るものは追わず。
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滋賀県立大生の取り組み
滋賀県立大生は、この上丹生と関わりを持っているらしい。そして、彼女たちは、東北とのつながりも持っていろんな活動をしているとのことだ。その一つが『ほたてあかり』の販売だ。
この『ほたてあかり』はホタテ貝の貝殻にろうそくを立てたものだ。「ろうそくの灯る時間、東北を想おう」というもので、一組500円だ。このろうそくは、お寺で使う和蝋燭の使い終わった部分を回収して、新たに蝋燭を作ったものだ。
かつては、使い終わった蝋燭は、蝋燭屋が回収したそうだが、今はそれがなく捨て場に困っているとのことだ。それを使って、新たな蝋燭を作っているのだ。そして、蝋燭の売り上げは、原材料費を除いて、製造した宮城県南三陸町にある田浦地区のお母さん方の人件費と同町の復興に使われるというのだ。
今日のチューリップ祭りでは、二人の滋賀県立大生(女性)が、そのことを来場者に説明し、『ほたてあかり』を販売していた。二人の学生のうち一人は、隣町の永平寺町出身だと聞いて驚いた。
私も、いつかは東北の子ども達のために何かできないかと考えていると彼女たちに話した。紙芝居制作もそうしたアクションにつながればと思って続けている。彼女たちによれば、子ども達は遊び場も流されて避難所の小さなスペースで遊んでいるとのことだった。
いつの日にか、子ども達の前で何かできることをやってみたい、そんな気持ちで彼女たちの『ほたてあかり』販売を眺め、二組買わせてもらった。いろんな所でいろんな取り組みがなされていることに感心した。
(日記 午前7時半自宅を出発し、私は会員ではないが、エコミュージアム協議会の研修『上丹生チューリップ祭り』視察に家内と二人で参加した。そして、午後4時に帰宅した。充実した研修だった。帰宅途中、家庭菜園へ寄り、キュウリなどに水をやった。)
Norio Yama
2012年5月7日 at 8:52 PM
コメントありがとうございました。私は、会員ではありませんでしたが、今回の上丹生のチューリップ祭りを紹介されましたので、夫婦で参加させていただきました。まちづくりには、馬鹿者、切れ者、よそ者が必要だと来る途中のバスの中で上丹生のある人の話として聞かせていただきました。私たちは、馬鹿者、若者、よそ者が必要だと今まで考えていました。
私はどちらかと言えば馬鹿者でしょうか。来る途中のバスの中でも、勝手に司会をさせていただきながら、参加者の皆さんの想いを聞かせていただきました。私は、和太鼓のチームを主宰しており、東北の子ども達に教える機会があればとも思っています。私は、20数年前に『越前勝山春駒太鼓』を創設し、今も小学生1、2年生とその保護者に和太鼓を教えています。また、自分のチームも持っています。上丹生の祭りで和太鼓を披露する機会があればとも思いますが少し遠いのでメンバーの輸送や楽器運搬など苦労があるかなあと思っています。でも、私達夫婦ならどこへでも行きますので、いつの日にか、東北の子ども達には創作紙芝居や歌で交流できたらと思っています。
Norio Yama
2012年5月7日 at 9:04 PM
メールありがとうございました。地域の方々が、このようなイベントを開催されることに感心しています。なかなかできることではありません。いろんな世代の方々が参加されていることにこの祭りのよさを感じました。今後が楽しみです。私も、まちづくりには大いに関心があり、各地を見て回りましたし、市内でも、いろんな活動に関わっています。ここ数年は、盆踊りの復活に務めています。地元の民謡をCD化したり、民謡を創作し、それに振り付けをして夏祭りに皆さんに踊っていただいたりしています。和太鼓も指導していますが、演歌や民謡を作ることも趣味にしています。音楽で、何か皆さんに役立つことがあればと思っています。お恥ずかしいですが、私のホームページを見ていただければ幸いです。『いなかもんの演歌の広場』で検索していただければと思います。(いなかもんとは私のペンネームです。)今後ともよろしくお願いします。